オンタリオに通い続けるライター、ヨシザワです。私が世界でもっとも好きな場所のひとつが、アルゴンキン州立公園。もちろん何度も訪れましたが、そのワイルドな大自然とともにいつも驚かされるのが、ここで見る星の美しさです。
そこで昨年の秋、専門誌「天文ガイド」の編集部ササキさん、そして自然写真家のウシヤマさんと共に「星空探険隊」を結成し、星をテーマにアルゴンキンへ。折よく現地では地元の人々が集まって夜空を楽しむ「スターパーティ」も開催中。日本とカナダの天文ファンに囲まれて、たっぷりと星空を見上げてきました!

天の川もくっきり!最高にキレイな夜空

星空探険隊がアルゴンキンを訪れたのは、昨年の9月上旬。バケーションシーズンも終わり、紅葉にもやや早いこの時期、広大な公園内には静かな晩夏の風景が広がっていました。 いつもなら、到着の夜はとりあえずビールでも飲んでゆっくり休みましょう、というのがお約束。ですが、今回は勝手が違いました。夜中になってササキさんとウシヤマさんがゴソゴソ。聞けばこれから星空撮影に出かけるというのです。
「えっ、星は逃げていきませんよ」と付き合う気などまったくないヨシザワ。悪いけれど、私は先に休ませていただきます。

夏の終わりのアルゴンキンは静かで雰囲気満点

朝もやは相変わらずキレイでした!

翌日、彼らが見せてくれた写真をみてビックリ。写っていたのは今まで見たこともないような満天の星空。天の川もくっきり。しかも湖にまで映り込んでそのキレイなことといったら。
「民家がないからさすがに空が暗くて、星が本当にキレイに見えますよ」と専門家のウシヤマさんも太鼓判。自然地帯アルゴンキンならではの条件の良さ。この近くには世界で初めてダークスカイ保護区として登録されたエリアもあるほどです。「ふふ。やっぱりアルゴンキンってスゴイでしょ」と先に寝たくせに自慢をするヨシザワでした。

ウシヤマさんが初日に撮影した夜空 (写真:牛山俊男 協力:月刊「天文ガイド」)

昼間はロケハン、そして夜に本格活動

アルゴンキンを訪れたら、ふつうならカヌーやハイキングをして思い切り自然に浸るところですが、天文ファンの関心はいかにキレイな星空を見て、それを撮影するかに尽きるようです。星空探険隊も、昼間から車で走りまわって天体撮影に適した場所のロケハンに明け暮れました。車で入れないところには、どこまでも歩きます。といっても、これはこれで結構たのしいもの。いたるところにハイキングトレイルが敷かれているので、それを巡るように森の奥の湖や、見晴らしのいい場所へ、夜空を想像しながら歩きまわりました。

ロケハン中、ミズィー・レイクという湖でビーバーに遭遇。アルゴンキンでは、このほかムースなどの野生動物に出会うチャンスもいっぱい!

同じくロケハンで訪れたセンティネル・リッジ・トレイルのビューポイント。森の上の星空も素晴らしそうです

夜になると、昼間見つけておいたポイントに出動。真っ暗なところも多いのでライトは必需品です。そしてカメラをセットし、狙った星空を撮りまくるのです。雲がでてもあきらめず、ひたすら待ち続けます。そして気がつけば明け方近くになり・・・という繰り返し。実際、ササキさんとウシヤマさんは滞在中、ほとんど眠っていない様子。日に日に目の下が黒くなっていくのですが「これがぼくたちの旅のスタイルです」とケロリ。天文ファン、恐るべし。

後半、せっかくアルゴンキンに来たのだからと無理やりカヌーに乗っけちゃいました。
憮然とした表情のウシヤマさん(左)、ササキさんは結構楽しそう

カナディアンのスターパーティに乱入

ところで皆さんは「スターパーティ」というのをご存知でしょうか。天文ファンが集まって一緒に星空を眺める集いのこと。ここアルゴンキンでもちょうど、毎年恒例の「アルゴンキン・アドベンチャー」というスターパーティが行われていました。すでに13回目となる催しで、トロントやオタワなどから80人を超えるファンが集結。公園内のミュー・レイクにあるキャンプ場に2泊3日で滞在します。キャンプ場は広大で、モーターホームで利用できるオートキャンプスポットをはじめ、自前のテントを持ち込める場所など、そのタイプは様々。“ユルト”と言われる大型テントをあらかじめ設置してあるスポットもあり、テントを持っていかなくても楽しめます。暖かいお湯の出るシャワーや、ランドリーまで揃っているなんて、なんとも快適。キャンプそのものを楽しみながら、のんびりとファミリーで参加している人たちも大勢いました。
そして夜、会場に行ってみると、暗い湖畔にまるで大砲のような太い望遠鏡がニョキニョキ。みんなかなり盛り上がっています。カナダにも夜行性の天文ファンがこんなにいるなんて! ササキさんもウシヤマさんも、とても嬉しそうです。何人かの望遠鏡ものぞかせてもらいましたが、なんだか私も星に近づいたような感じでワクワクします。

スターパーティ会場のミュー・レイク・キャンプ場。昼間はこんな感じ

キャンプサイトでは音楽を楽しんだり、昼寝をしたり。
思い思いに夜を待ちます

星空の撮影にも挑戦!

滞在中、私も星空撮影に挑戦しました。もちろん初めての経験です。夜、湖の木製桟橋に三脚を立ててスタンバイ。ウシヤマさんにレクチャーを受けながら、アングルを決め、何枚かシャッターを切りました。アルゴンキンならではの森や湖のシルエットをなんとかうまく入れたいと試行錯誤。
モニターで確認すると、「あ、ちゃんと写ってる!」なんだか嬉しくなってシャッターを押し続けます。たとえばタイトル部分に掲載した写真などが撮れました。なかなかではありませんか!撮っているうちに、なんだか欲が出てきます。もっと星をくっきり写したいなどと思い始め「帰ったらもっといいレンズ買っちゃおうかな・・・」なんて考えていたり。もしかしたら、私もちょっとキケンな“夜の世界”に足を踏み入れてしまったのかも。

湖の木製桟橋の上にカメラをセットして北斗七星を狙うヨシザワ (写真:牛山俊男 協力:月刊天文ガイド)

牛山さん直伝の一眼レフデジタルカメラを使った撮影方法、ここで皆さんにもご紹介します。

  1. 安定した地面に三脚を立て、カメラを雲台にセットして、レリーズをとりつけます。
  2. カメラはマニュアルモードに設定し、シャッタースピードはバルブに、レンズの絞りを開放に(絞りの数値を最小に)。ISO感度は1600〜3200に設定します。
  3. 雲台を動かし、明るい星を画面中央に入れながら、シャッターボタンを半押しし、オートフォーカスでピントを合わせます。ピントが合ったらオートフォーカススイッチをオフにしてピント位置を固定します
    (ピントを単純に無限大に合わせてしまうとずれが生じることがあるそうです)。
  4. ピント位置が動かないように注意しながら撮影アングルを決め、雲台を固定します。
  5. 時計を見ながらレリーズを使ってシャッターを切ります。
  6. 露光時間を15秒、30秒、1分と何段か試しながら撮影します。

宇宙の神秘を感じる、贅沢な夜空

今回のアルゴンキン滞在は約1週間。毎晩たっぷりと星空を眺めることができ、その美しさには改めて感動しました。たとえばスターパーティの夜、ミュー・レイクの湖畔で見上げた星空の眩しさといったら! 満点の星が鏡のような湖面にも映りこみ、言葉を失うほどの迫力。ただの星空ではない、これぞ宇宙というべき無限の広がりを実感しました。やっぱり、アルゴンキンの夜空は最高です。これを見るだけのためにわざわざ訪れてもその価値は十分あるというもの。
次は、静かな湖畔にじっくり腰を据えて空を見上げ、マスコーカチェアのシルエットと一緒に夜空が撮ってみたい---早くもそんな風に計画している私です。皆さんもぜひ一度、この贅沢な星空を見上げに、アルゴンキンに来てみませんか。

ミュー・レイクで見上げた星空。写真:牛山俊男 協力:月刊「天文ガイド」

ハリバートンで星空ウォッチング

星をテーマにした旅では、アルゴンキンの南東にあるハリバートン・フォレスト自然保護区に足を延ばしてみるのもおすすめです。
ここでは、星をテーマにしたプログラムが充実。たとえば夜空を見ながら太陽系を疑似体験する暗闇散歩ができます。また小さなプラネタリウムでのレクチャーや、ふたつの望遠鏡が設置された天体ドームでの星空観察も可能。
専門家向きというよりは、誰もが楽しめるアトラクションで、ファミリーでワイワイ楽しめる内容です。

ハリバートン・フォレストにある天体観測ドーム

大きな望遠鏡で月や星をのぞくことができます