Ontario Style Special Contents Vol.39 カリナリー・ツーリズムの第一人者!レベッカ・ルフープさんインタビュー

オンタリオで「おいしい食文化体験」の旅を

今、新しい旅のカタチとして注目されているのが、食と旅をつなげた「カリナリー・ツーリズム」。オンタリオ州でその第一人者として活躍中のレベッカ・ルフープさんに、おいしくてこれまでにないような旅のスタイルについて、お話を伺いました。
彼女がおすすめする美味しい食材、地域、お店情報も掲載。今すぐ「オンタリオのおいしい旅」に出かけたくなってしまいますよ!

レベッカ・ルフープ Rebecca LeHeup
オンタリオ・カリナリー・ツーリズム・アライアンス(OCTA)事務局長
トロント出身。プリンス・エドワード・カウンティ(PEC)の観光マーケティング団体「テイスト・ザ・カウンティ」の事務局長を務め、ワイナリーや農場などを巡って楽しむ観光ルート「テイスト・トレイル」や食のイベント「テイスト!」など、様々なプログラムを創出。2008年にOCTA事務局長に就任。以来、オンタリオ州各地の食文化を通じての観光プロモーションにまい進中。
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インタビューレベッカさんおすすめ 現地の「食」情報

旅行者にオンタリオのおいしさを知ってほしい

―― レベッカさんがずっと力を注いでいる「カリナリー・ツーリズム」について、わかりやすく説明していただけますか?

Rebecca(以下R)  簡単に言うと、もっと「食べること」を楽しみながら旅しましょう、ということでしょうか。食べ物を通じてその土地をより深く知る、そんな旅のことです。
たとえばおいしい野菜を食べた時、それがどこでどうやって育てられ、誰がどのように料理をし、そして地元の人々がそれをどんな風に楽しんできたか、そうしたことを見たり聞いたりすることで、旅がもっと面白くなるというか。そしてこういう旅行形態が定着することで、農家やレストランなど作り手側もそれぞれ連携しながら活性化して、さらにビジネスとしても成り立つ。そんな流れを作りたいのです。

―― でも残念ながら、カナダの食べ物ってそんなに有名ではないですよね。私たち日本人がイメージするのはメープルシロップとサーモンくらいですし…。

R  確かにカナダの食について、独自の食文化が完成している日本の方にお伝えするのはとても難しいですね。何しろ歴史が浅いし、移民によってできた国なので伝統食もバリエーションが多すぎるほどあるし。一口に言ってしまえば何でも揃っている。だから「これぞカナダ料理」、あるいは「オンタリオ料理」と言える個性的なものがないように思えるかもしれません。
でも逆に、この多様性こそがカナダであり、オンタリオの特徴でもあるのです。これほど世界各地の味が楽しめる場所は他にないのでは。またオンタリオでは地産地消の文化がかなり定着しています。だから、たとえばニンジンひとつとっても、すごく新鮮だし地元のテロワール(風土)が感じられる味がする。たぶん、日本のニンジンとは違う味だと思いますよ。こうしたオンタリオの個性が感じられるものにこだわりながら、しかも旬で健康的なものをどんどん紹介していければと思っています。

世界中の食材が揃い、各国の伝統料理が味わえるカナダ(トロント、ケンジントン・マーケット)

各地の市場では旬のおいしいものがいっぱい(オタワ、バイワード・マーケット)

旅先で食べるものを、より深く知る面白さ

―― 旅行者は、レストランやカフェで食事を楽しむ以外にどんな体験ができるんですか?

R  たとえば農場を訪れて実際に食材を作っている現場を見たり、話を聞いたり、直に買ったり。そして今度はそれを料理するシェフの話を聞きながら、味わったり。あるいはその食材を使ったクッキングコースに参加したり…。そんな旅の仕方をしたら、とても面白いと思いませんか。もちろん、それが第一の目的でなくてもいいんです。ナイアガラの滝を見に行ったついでに近くのワイナリーや農場を巡る、あるいはトロント滞在中にケンジントン・マーケットで試食体験もできるツアーに参加する、そんな風に楽しんでもらえれば。

昔ながらのナチュラル農法で野菜を育てている農家(PEC、ヴィッキーズ・ベジ)

羊をブドウ畑で放し飼いにしているオーガニック・ワイナリーも(ナイアガラ、サウスブルック・ヴィンヤーズ)

―― 実際に、旅行者が立ち寄れるような農場などは多いのですか。

R  たとえばPECの「テイスト・トレイル」のようなカリナリー・ツーリズム・デスティネーション(食をテーマにした観光地)は今、オンタリオ州内に25カ所あります。そうしたところでは農場やチーズなどの工房、ワイナリーも含め旅行者に様々な体験を提供しています。旅行者はそれぞれの地域で用意されているパンフレットや地図を頼りに、興味のあるところをピックアップして、自由に農場やレストランを回ることができるわけです。旅行者の受け入れにとても積極的な農場も多いんですよ。実際、かつては兼業農家だったファミリーが、カリナリー・ツーリズムに参加したことで忙しくなり、今では家族全員で農業に専業しているというケースもあるんです。

―― オンタリオスタイルの読者にも、旅の目的のひとつは食べること、と言う人は大勢います。自分の食べるものをもうちょっと掘り下げながら、オンタリオならではの体験ができるとしたら、かなりステキですね。

R  今後、オンタリオ各地で様々な食のムーブメントが起こっていくと思います。特にオーガニックフードやナチュラル食材の生産はオンタリオ全体で盛り上がっており、ヘルシーな料理が次々と登場しています。観光やショッピングだけでない、オンタリオの旅の「おいしさ」の部分も発見してもらえるはず。楽しみにしていてくださいね!

各地に手作りチーズの工房も増えています(PEC、フィフス・タウン・アーティザン・チーズ)

PECのテイスト・トレイル。道路沿にもサインがあり、セルフガイドで巡ることが可能

レベッカ・ルフープが厳選 これがオンタリオの美味!

レベッカのおすすめ1 オンタリオでぜひ食べたい、季節別の食材ベスト3

春

1位 アスパラガス、2位 ワイルドリーク(西洋ネギ)、3位 メープルシロップ

アスパラガスは本当においしいオンタリオ自慢の野菜です。私も以前、PECの片田舎に住んでいたとき、春には道端にある農家の無人スタンドに立ち寄っては大量に買っていました。大きな冷蔵庫が置いてあり、ここから好きなだけとって自分で重さを量り、缶の中に料金を入れていくんです。新鮮なものは生でかじってもとても甘いし、バーベキューにもパスタにも、スープにもどんな料理にも合う。毎日、アスパラガスづくしになるのですが、子供たちもおいしいときはこの時期しかないと知っているので、先を競うように食べていました。

夏

1位 ストロベリー、2位 ピーチ、3位 トマト

夏はフルーツや野菜がすごくおいしいですね。トマトは原種に近い品種のものにこだわっている農家がたくさんあり、レストランでもそうしたタイプが多用されています。ナイアガラなど、ワイナリーのある周辺にはたいてい果樹園もあります。ワイナリー訪問の際には、ぜひあわせて訪れてみて下さい。新鮮なフルーツに出会えるはずです。

秋

1位 リンゴ、2位 コーン、3位 ピーナッツ

リンゴはオンタリオの伝統的なフルーツ。ジュースやサイダー(発泡酒)もたくさん作られています。それからあまり知られていませんが、ピーナッツもとてもおいしいんですよ。

冬

1位 ピクルス、2位 シャルキュトリ(豚肉などの加工食品/サラミ、ハム、パテなど)

オンタリオの冬はとても寒いので、自然農法ではほとんどなにも育ちません。その代わり保存食品や加工食品がおすすめ。多くのシェフが、非遺伝子組み換えの作物や無添加の肉などで保存食を作り、冬のメニューとして提供していますので、ぜひ味わってみて。自家製シャルキュトリを作って売ってくれる農家も少なくありません。

レベッカのおすすめ2 食をテーマに訪れたい場所ベスト5

1位
 ストラトフォード

ここにはショコラティエが集まっており、ホームメイドのチョコレートショップがたくさんあるんです。それを巡る「チョコレート・トレイル」は、甘党の方にはぜひ体験してほしいですね。

2位
 アップルパイ・トレイル

リゾート地ブルー・マウンテンの周辺地域、コリンウッドからソーンベリー、ミアフォードはリンゴの産地。地元のベーカリーやカフェなどが、アップルパイをはじめそれぞれ自慢のアップルスイーツを作って提供しています。アウトドア体験と合わせてぜひ楽しんでみて。

3位
 プリンス・エドワード・カウンティ

私が最初にカリナリー・ツーリズムを手掛けた場所。「テイスト・トレイル」を巡れば、ワインとローカルフードのコンビネーショでオンタリオらしいスローフード・ライフを堪能できるはず。

4位
 ナイアガラ

特にナイアガラ・オン・ザ・レイクからオンタリオ湖沿いに続くナイアガラ・エスカープメントの一帯。カナダきってのワイン産地ですが、ワイナリーだけでなく果樹園や農場などを合わせて楽しめます。

5位
 エバーグリーン・ブリック・ワークス

トロントの郊外ドン・バレーにあるレンガ工場の再開発地区。毎週土曜日に開かれるファーマーズ・マーケットには人気のレストランも出店。そのほか、有名シェフなどを招いての様々な食イベントが行われ、トロントっ子にも人気です。

レベッカのおすすめ3 トロントのおすすめレストラン・ベスト3

1位
 ジェイミー・ケネディ・ギリアード・カフェ&ビストロ

ローカルフード文化の創設者でもあるカリスマシェフが腕をふるうお店のひとつ。ローカルの契約農家の自然食材を、彼の味付けでとびきりおいしく食べさせてくれます。名物のフライドポテト「JKフライ」は大人気。

2位
 ポルケッタ

超カジュアルなサンドイッチ専門店。自家製焼き豚を使ったポルケッタ・サンドイッチは病みつきになるおいしさです。

3位
 ローカル・キッチン

地元の自然食材、そして旬のものにこだわったイタリアン・レストラン。シンプルなおいしさが魅力で、シャルキュトリも豊富。すごく豪華というわけでないけれど、個性が感じられる粋なお店です。