Ontario Style Special Contents Vol.41 トラベルライター吉沢博子の取材こぼれ話 バレンタイン・デーにもおすすめ!「飲む宝石」アイスワイン

オンタリオに通い続けるライターヨシザワです。今回はカナダを代表するアイスワインについて、ご紹介したいと思います。
実は甘いモノはあまり好きではない私ですが、アイスワインの上品な甘さと香りには、いつも感動します。それはまさに「飲む宝石」。そして、手間と時間がかけられた製法や希少性を知れば知るほど、その甘い1滴がいとおしく思えてきます。セント・バレンタイン・デーの気の利いたプレゼントとしても、断然おすすめです。

カナダを有名にしたアイスワイン

ナイアガラの老舗ワイナリーのひとつ、イニスキリン・ワインズの見学ツアーに参加すると、地下のワインセラーにも案内されます。そこでひときわ目を引くのが、1989年のヴィダル・アイスワイン。木箱の中でうっすらとホコリをかぶって保管されているこのワインこそ、ナイアガラをワイン産地として世界に認めさせた立役者です。
1991年にボルドーで開かれたヴァンエキスポ。この世界に名だたるワインコンクールでグランプリを獲得したのが、このイニスキリンのアイスワインでした。それまでまったく無名だったカナダワインが一躍注目の的となったのです。

1991年のヴァンエキスポでグランプリを獲得した、イニスキリンの1989年アイスワイン

そもそもアイスワインが最初に造られたのは、18世紀のドイツでした。予期せぬ霜被害によって偶然生まれたと言われています。その驚くべき美味しさは「貴族のワイン」としてヨーロッパじゅうでもてはやされ、やがてカナダにも移民とともに持ち込まれました。

イニスキリンの試飲つきツアーでは、アイスワイン用に特別に作られたリーデルのグラスを使用

ブドウはアイスワイン専用の畑で育てられます

ナイアガラでは冬、アイスワイン・フェスティバルも開催

冬を待ち、夜中に行われる収穫作業

アイスワイン造りは、普通のワイン以上に手間と時間がかかります。
まず、収穫は冬。しかも12〜1月の、気温がマイナス8℃を下回るまで待ちます。この間、鳥などに食べられないよう守るのも一苦労です。冷え込んだ空気の中で、ブドウの水分は凍り、不凍の果汁には糖分が凝縮されます。アイスワインは、この果汁だけを絞って造られるのです。凍った水分を溶かさないよう、収穫も絞り作業もマイナス8℃を下回るしっかりと冷え込んだ夜中に行われます。凍えながらの大変な作業。収穫できる果汁は、通常のワインに比べ1/8程度とわずか。そしてこの貴重な果汁を、通常のワインよりもずっと長く、半年ほどかけて発酵させ、ようやくできあがるのがアイスワインなのです。

凍って糖分が凝縮されたアイスワイン用のブドウ

トロリと上品な甘さをもつ最高級のデザートワインが完成

様々なタイプのアイスワイン、そしてクッキーや紅茶も

現在、ナイアガラをはじめ、プリンス・エドワード・カウンティピーリー・アイランドエリー湖北岸などオンタリオの各ワイン産地でアイスワインは造られています。ヨーロッパ以上に、寒い冬が訪れるオンタリオは、高品質のアイスワインを安定的に生産できる場所として世界のワイン通が認めています。また皮に厚みがあり、さらに冬にも果実が落ちづらいという理由で、当初はヴィダル種のアイスワインが主流でしたが、最近では各ワイナリーで、リースリング、カベルネ・フランなど、白・赤いろいろな種類のブドウのアイスワイン造りも盛ん。スパークリング・タイプも登場しており、様々な美味しさを楽しめるようになりました。

イニスキリンのアイスワイン4種

アイスワインの試飲も楽しめるペラー・エスーツのブティック

アイスワインは、350mlの小さなボトルで3000円以上など、他のワインに比べると高めですが、この希少性を知ればその価値も納得できるのでは。また最近ではリカーストアなどで、50ml入りのミニボトルで何種類かのアイスワインを気軽に楽しめるセットも販売されています。さらに、各ワイナリーのブティックでは、アイスワインで作ったシロップや、クッキーや紅茶など、アイスワインフレーバーの食品もあり、それぞれに美味。
旅の記念に、あるいは特別な人へのお土産に、ぜひおすすめです。

パンケーキやお菓子のフレーバーとして楽しめるアイスワインシロップ

レストランではアイスワインを利用した料理やデザートも