オンタリオに通い続けるライター、ヨシザワです。ソフトアドベンチャー専門の私が今回企画したのは、「カナダならでは」のアウトドア取材。アルゴンキン州立公園でのオートキャンプです! 大きなモーターホームを借りて、のんびりと自然の中で過ごすなんて、いかにもカナダ的ではありませんか。快適そうだし、本格的キャンプの経験がない私にも無理なく楽しめるはず。設備の整ったキャンプサイトを基地に、大自然を満喫した様子をレポートします。

「妖精」という名の大きなモーターホームをレンタル

今回のツアーメンバーは、オンタリオ州観光局のオカダさん、カメラマンの関さん、コーディネーター兼ドライバーのミッキーさん、そして私の4人。オートキャンプは全員初心者です。
数日間の移動手段&住まいともなるモーターホームを借りたのは、ピアソン国際空港の北にあるその名もMOTOR HOME TRAVELという会社。RV(レクレーション用の車)専門のレンタル会社で、広大な敷地にさまざまなサイズのモーターホームやトレーラーなどがズラリと並んでいました。カナダの空港の周辺には、このようなRV専門のレンタルスポットがたくさんあり、飛行機で飛んで、モーターホームで旅をする「フライ&RVドライブ」の旅も気軽に楽しめるのです。

入口にはなんと”Welcome Ontario Style”のサインが!

日本ではなかなかお目にかかれない大きなサイズがズラリ

さっそくカウンターでチェックイン。予約や借り出しの手続きは基本的に普通のレンタカーと同じですが、車を動かす前にはもちろん、スタッフが給排水の仕方や電気コンセントへのつなぎ方、また車内装備の扱い方などを一つ一つ丁寧に説明してくれます。みんな初めてのモーターホームを前に、真剣な表情!
私たちが借りたのは、フォードのトラックをベースに作られた4〜6人用のモーターホームLeprechaun号。レプラコーンとはアイルランドの伝説の妖精のこと。キュートな名前ですが、外観はかなり大きく、長さは8メートルほどもあります。ちなみにこの車のようにトラックをベースにしたタイプは「クラスC」というカテゴリーでもっとも一般的なもの。このほかにワンボックスカーやバンなどを改装したちょっと小型の「クラスB」、バスのように四角い形でかなり広々とした「クラスA」などもあります。

設備の使い方などをスタッフが丁寧に説明

クラスCのレプラコーン号

クィーンサイズのベッドがついた豪華装備に大はしゃぎ

レプラコーン号は、内部も思った以上に広々としています。シンクのあるキッチン周りには、3つ口のコンロと大型冷蔵庫、電子レンジも完備。大きなダイニングテーブルもあります。ベッドは3か所。まず運転席の上に設置できるバンクベッド、そしてダイニングテーブルとシートを組み替えて作るソファベッド。そして、最後部にはなんと備え付けのクィーンサイズベッドが! しっかりとスプリングが効いたマットがドーンと広がり、ホテル並みの快適さです。さらにべッド脇の扉を開けると、トイレとシャワールームまで整っています。大小の扉がついた収納スペースもたっぷり。ふと上を見れば車内どこからでも見られるフラットテレビまで! まさに「動く家」・・・というか私の家より快適かも。
みんな、あちこちのスイッチを押したり、扉を開けたりしては、いちいち大歓声。最初からテンションあがりっぱなしです。

3つ口コンロのあるキッチン。食器や調理器具も揃っています

クィーンサイズのベッド。シーツやタオルなども事前に予約できます

運転席の上は大人が余裕で眠れるベッドに

全体はウッディなインテリアで統一され高級感満点

食材の買い出しも楽しみのひとつ

さあ、興奮冷めやらぬまま、全員乗車。アルゴンキン州立公園に向けて出発です(25歳以上で国際免許証があれば運転可能です)。車内では、時々棚の中で食器などがガチャガチャぶつかる音が聞こえますが、乗り心地は快適。運転中は全員シートベルト着用が必要ですが、運転席と助手席以外の人は、ダイニングテーブルを囲んで座ることになるので、おしゃべりをしたり、ゲームをしたりもでき、通常の車での移動よりもぐっとリラックス感があります。
2時間ほど走り、アルゴンキン州立公園手前の街ハンツビルでスーパーマーケットへ。キャンプ中の食料調達をします。カナダの大型スーパーでは欲望のままに買い物をするとつい買いすぎてしまうので注意が必要。お買いものリストを作っておくのがコツです。もちろんリカーストアでのビールやワインの買い出しも忘れません。結局かなりの荷物になりましたが、このままキャンプ場に乗り込めるので軽量化などを工夫する必要がないのも、うれしい点です。

ハンツビルのスーパーで食材の買い出し

ハンツビルからアルゴンキンに伸びる国道60号。園内の主要道路はこれ1本のみ

200以上のスポットが広がる森の中のキャンプ場

アルゴンキン州立公園には、買い物の時間などを除けばトロントから3時間ほどのドライブで到着。ここは、東京都の3倍ほどの広さを持つ大自然地帯で、カヌーやハイキング、マウンテンバイクなどがたっぷり楽しめる場所。オンタリオっ子お気に入りのネイチャーゾーンです。
園内には 設備の整ったキャンプ場だけで11か所もあり、それ以外にもカヌートリップなどをしながら利用できるバックカントリーのキャンプサイトも点在しています。夏のバケーションシーズンには事前予約が必須なほど人気。私たちは公園内でもひときわ規模が大きいキャニスベイ・レイクのキャンプ場を確保しておきました。
湖のほとりの森の中に広がるここには、テント専用のサイト、RV用の大型サイトなど242カ所の個別キャンプスポットがゆったりとレイアウトされています。

242スポットもあるのに一つ一つが森に囲まれとても静か

こんな快適なアウトドアリビングを作って長期滞在する人たちも

入口のオフィスで手続きをすると、使用できるスポットの番号を渡されます。行ってみると、大きなレプラコーン号を停めても十分に余裕のある広さ。焚火ができるファイヤーリング、そして大きなピクニックテーブルもあります。またコンセントもあり車の電源を切り替えることもできます。
早速キャンプの設営です。レプラコーン号では4人が眠ることもできるのですが、カメラマンの関さんとコーディネーターのミッキーさんの男性二人は、それぞれ外に自分のテントを張って寝ることに(遠慮して、というよりもたぶんこの方が気楽でいいのでしょう)。これだけ設置してもなお、スペースには余裕があり、車のサイドにテーブルやいすを置いてアウトドアのラウンジも設営。なかなか快適なキャンプが出来上がりました。

キャンプ場のオフィスでチェックインするミッキーさん

レプラコーン号の外にしつらえたスペースでお肉を焼くオカダさん

毎年ここでキャンプを楽しむという常連さんも

落ち着いたところでキャンプ場内の探索へ。個別のスポットをつないで大小の通路が何本も敷かれた迷路のような森の中を歩いていると、もうそれだけでもハイキングをしている気分に。キャンプ場内には、要所要所に清潔な水洗トイレや簡易トイレ、水汲み場などが設置されているのに加え、シャワーやランドリーまで整っています。RV用の給排水基地ももちろんあるし、またゴミ捨て場は、たくさんのゴミ箱が並び、プラスチックやビン、紙などを細かく仕分けして捨てるシステム。生ごみを再生するリサイクルごみ箱まで設置されていました。

熱いお湯が出る快適なシャワールーム。私たちも車内のシャワーでなくこれを利用

細かく仕分けされたごみステーション。さすが大自然の国!

湖畔にはビーチがあり、泳いだり日光浴をしたりする人の姿が。またカヌーのレンタルも可能で、ここから湖へとパドリングを楽しむこともできます。
夏休み中だったためキャンプ場はほとんどが埋まっています。カナダだけでなくアメリカやヨーロッパからやってきたという人も少なくありません。それぞれ思い思いにくつろぎ、「わが家」の雰囲気を醸し出しています。みんな陽気で、歩いていると気軽な挨拶が飛び交います。ひときわ賑やかな家族のサイトでちょっと立ち話。「毎年ここに親族一同が集まるのよ。並びで4〜5か所のサイトを確保して、ビッグパーティをして、数日間みんなで思い切り遊ぶの」と本当に楽しそうです。

キャンプしながらビーチで日光浴ができるなんて、最高!

親子3代で恒例のキャンプを楽しむ陽気なファミリー

焚火も宴会もどこまでも盛り上がります!

さて、あまりのんびりとはしていられません。メインイベントの食事の準備に取り掛からねば。ここでレプラコーン号の秘密兵器が登場。ダイニングテーブルの横にあるスイッチを押すと、“ウィーン”という音とともにボディの一部が外側にせり出して車内がさらに広くなるのです。「スライドアウト」という機能で、キャンプ場などではこうして広げておけば、より快適に使えるというわけです。広々キッチンは、使い勝手もよく料理も洗い物も、想像以上にスムースに進みます。

車内のキッチンでサクサクと調理

ある日の夕食のメニュー

カナディアンスタイルの朝食も

せっかくファイヤーリングもあるので、外で焚火をしてBBQもすることに。男性陣は火おこしとなると俄然張り切ります。本能なのでしょかうか。夕闇の中、焚火を囲み、ビーフとサーモンのステーキ、ジャガイモのホイル焼き、サラダなど、カナダ的メニューを堪能。
…ところが、お酒も入り盛り上がり始めたあたりで、突然風が強くなり雨が降り出しました。みんなであわてて料理とともに車内に避難。車には電動式タープもついているのですが、雨や風が強いときにはさすがに車内の方が快適です。そして、そのまま今度はレプラコーン号のダイニングテーブルを囲み、宴を繰り広げたのでありました。悪天候でも楽しめるというのも、モーターホームのいいところです。
夜、私たち女性チームはレプラコーン号の快適なベッドで爆睡。男性陣は各自のテントで雨と風の音に時々起こされながらも、プライベート空間を満喫。アルゴンキンの森の中で眠る贅沢にそれぞれ浸ったのでした。

炭火の上でサーモンや野菜をBBQ

もちろんカナディアンビーフの巨大ステーキも!

外は雨でも車内で延々と宴会

カヌーをして、ハイキングをして、そしてまたキャンプして

アルゴンキン州立公園でのキャンプ生活の醍醐味のひとつは、朝起きて、天気や気分に応じてその日の行動を決められることです。広大な州立公園内には、整備されたハイキングトレイルだけでも16コースもあり、またカヌールートに至っては園内全域に網目のように張り巡らされ総距離2000qの長さで伸びており、まさに遊び放題。
私たちも毎朝起きては「さて、今日は何をしようか」と地図を広げ、計画をたてるのが日課に。ガイド付のカヌーツアーで公園奥地までの1日たっぷりパドリングを楽しんだり、おにぎりを作って眺望の素晴らしい丘の上までハイキングをしたり、オオカミと交信する「ウルフハウル」に挑戦したり、とアウトドア三昧の日々。
起きたら食べて、片づけて、出発。そして心ゆくまで外遊びをして、キャンプ場に戻ったらシャワーブースで熱いお湯を浴びて全身さっぱり。そしてまた火を焚いて宴会…。
とびきりワイルドで、自由、しかも快適。夢のようなアルゴンキンのキャンプ生活でした。

朝霧が出たときには顔も洗わず湖へ。靄の中にカヌーを浮かべる気持ちよさといったら!

アルゴンキンの森全体を眺められるブースズ・トレイルはかなりおすすめ